人間万事塞翁が馬
(じんかんばんじさいおうがうま)
ある城の塞(とりで)ほとりに
老人とその息子が暮らしていました
ある日、親子の馬が
突然、居なくなってしまいます
この辺りの馬は良い馬が多く
高く売れるので盗まれたのかと
近所の人々は気の毒がって
老人をなぐさめに行きました
ところが老人は
残念がっている様子もなく
「このことが幸福にならないとも限らん」
平然と言いました
間も無く、逃げ出した馬は
立派な名馬を連れて戻ってきました
近所の人たちが幸運に感心し
お祝いを言いに行くと、老人は平然と
「このことが災いにならないとも限らん」
と言いました
しばらくして息子が名馬から落ち
足に大きな怪我をしてしまいます
近所の人たちが
かわいそうに思ってなぐさめに行くと
「このことが幸福にならないとも限らん」
一向に動じませんでした
その直後、敵が攻め込み
城塞近くの若者はすべて戦いに行きました
そのほとんど戦死してしまいましたが
老人の息子は足を負傷していたので
戦いに行かずに済み、無事でした
城塞に住む老人の馬がもたらした運命は
福から禍(わざわい)へ
禍(わざわい)から福へ
人生に変化をもたらしました
禍福(かふく)というのは
まったく予測できないものだという
中国の古い書物
「淮南子(えなんじ)」
というものに書かれているお話
※「人間(じんかん)」
…人間(にんげん)の事ではなく
世間(せけん)
※「塞翁」
…城塞に住んでいる老人
この塞翁(老人)は
決して世の出来事に対して
ひねくれているわけではなく
人生というのは
事の大小にかかわらず
予想もしなかった結果が待っている
そんなことは日常でもよくあることです
わからないことに
一喜一憂して
目の前の出来事やものごとの
結果や状態に目を奪われないよう
心がけようというお話
禍福は糾える縄の如し
【読み】 かふくはあざなえるなわのごとし
【意味】 幸福と不幸は表裏一体
かわるがわる来るもの
沈む瀬あれば浮かぶ瀬あり
【読み】 しずむせあればうかぶせあり
【意味】 人生浮き沈みがある
楽は苦の種、苦は楽の種
【読み】 らくはくのたね、くはらくのたね
【意味】 楽をすれば後で
苦労を味わうことになり
苦労しておけば後で楽ができる
すべての人が
幸せを求めている
しかし幸せというものは
そうやすやすと
やってくるものではない
時には不幸という
帽子をかぶってやってくる
だからみんな
逃げてしまうが
実はそれが
幸せの正体だったりするのだ
詩人 -坂村真民
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